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W杯出場。「平成」に入って大きな飛躍を遂げた日本サッカー

キーワードで振り返る平成30年史 第15回

 開催国以外での最速での本大会出場を決め、黄金世代が全盛期を迎えて史上最強と謳われたジーコジャパンが臨んだのが平成16年のドイツ大会。しかし初戦のオーストリア戦で残り6分からの逆転負けを喫した日本代表は見せ場なしにグループリーグ敗退。決定機を逃したエースストライカー柳沢敦の「急にボールが来たので」を揶揄したQBKというネットスラング、グラウンドに泣き崩れるもチームメイトに見向きもされない中田英寿の孤独な姿、優勝を逃したフランス代表ジダンの頭突きなど、日本のファンにとってはやや寒々とした印象が残る大会となってしまった。

 好対照だったのが平成22年の南アフリカ大会。谷間の世代と呼ばれたユースなど国際大会での実績に乏しいメンバー、代表監督の突然の交代、大会前の戦績もイマイチとあってはろくな期待もされず、開催前は開催地である南アフリカの治安と民族楽器ブブゼラのみが専ら話題にあがったが、蓋を開けてみると本田圭佑や遠藤保仁らが大活躍。オランダ、デンマーク、カメルーンと同組ながら、オランダ以外の2国に勝利し、2大会ぶり2度目、アウェイ開催では初の決勝トーナメント進出を果たした。

 その本田や遠藤が円熟期を迎えるのだから弱いはずがない。新監督にザッケローニを迎えた日本代表は3大会連続で開催国を除く最速の本大会出場を決め、最低でもベスト16、ひょっとしたらとんでもないこともありうる、などと大きな期待を集める。だが本大会、グループリーグ初戦コートジボワール戦、本田のゴールで先制するも逆転負けを喫すると、次戦では格下と見ていたギリシアとはスコアレスドロー、そして南米の強豪コロンビアに4-1と大敗。前回主力が円熟期、国際大会で実績、最速で本大会出場決定、初戦で先制も逆転負け、2戦目得点を挙げられずドロー、最終戦で南米の競合相手に大敗、とドイツ大会をそのままトレースするような結果に終わってしまった。

 ここまでの日本代表の本大会での通算成績は4勝4分9敗。(PK戦負けは引き分けにカウント)なんとも微妙な成績で過度な期待は禁物だろう。もっともフランス大会から順にグループリーグ敗退と決勝トーナメント進出は交互になっていて、もしこれが続くなら今回のロシア大会は決勝トーナメント進出の順番ではある。ついでに言えば前評判が高くないというのもデータ上からはプラス要素。はたしてどうなることやら。

 それにしてもワールドカップといえばサッカーとなって早四半世紀。昭和は専らワールドカップといえばバレーボールだった。バボちゃんは元気にしているだろうか。ちなみに来年は日本でバレーボールとラグビーという二つの競技のワールドカップが実施される。興奮は続いていくのだ。

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後藤 武士

ごとう たけし

平成研究家、エッセイスト。1967年岐阜県生まれ。135万部突破のロングセラー『読むだけですっきりわかる日本史』(宝島社文庫)ほか、教養・教育に関する著書多数。


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